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自立神経失調症
疲れやすい、頭痛がする、便秘する、吐き気がする、寝付きが悪い、朝起きにくい発汗異常などの症状がある。
でも、病院へ行って診てもらっても何処といって異常が見あたらない。
こんなとき、あなたは自律神経失調症かも知れません。
自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてコントロールができにくくなっているのです。
交感神経とは自律神経系の一つで、臓器の機能を調節する大切な役目をします。
そのバランスが崩れるということは、体全体に様々な症状が現れます。
自律神経失調症は、過度のストレスや疲労、ホルモンのバランスが原因といえます。
(事例)
ケース(39歳・男性・会社員)
就職一年目に発症
望んでいた会社に入社した社会人一年生の男性が、人よりもよく見られたい、期待に応えたいと頑張り過ぎて入社一年後に、ストレスによって倒れるという事例です。
当時は高度成長時代で、仕事は多忙。残業も自ら進んでやり、麻雀や酒の誘いを受けると必ず付き合い、帰宅は午前になることもしばしば。精神的にも体力的にも限界に達した入社一年後、発作をおこしました。
目の前が暗くなり立っていられない不安感、死への不安、呼吸困難、身体の震え、予測不安で動けない。
そうこうしているうちに、胃下垂、神経性胃炎、十二指腸潰瘍、食欲不振、不眠、イライラ、嘔吐、倦怠感、疲労感、肩こり、耳鳴り、咽喉・声帯・食堂などの麻痺。
病気の宝庫のように、次々と体の変調をきたして行く過程。内科医から精神科を進められ、くだされた病名は自立神経失調症でした。
もらった薬を飲むと一時的に症状は緩和しましたが、やがて段々その薬も効かなくなりました。
その後病院を転々。薬と検査付けの毎日。薬に不信感を抱き、副作用を心配して薬の量を勝手に調整。
そうこうしていうちに転勤になり、環境の変化で最初こそ少しは体調がよくなったが、すぐに元の状態に戻ってしまいました。転勤先でもまた病院を転々と・・・。
仕事は以前よりハードになっているのに、ごく普通の日常生活すらできない程、体調は悪化していました。
途方にくれて、自立神経失調症の権威である、長嶺博士を訪問。独自の注射療法によって自立神経失調症は完治できるとのことを聞き、注射療法と共に森田療法を始めたのです。
不安感からのアルコール依存症、注射療法によるフラフラ感、卒倒恐怖により電車に乗れず、外出不可能。一ヶ月間の求職、閉じこもり。
その後会社に復帰したが、余程調子のよいときでないと電車に乗れず、遅刻・欠勤・早退の繰り返し。手足の冷感・脂汗・心臓の高鳴り、地球が揺れ、まわる感じで、散髪に行くのはおろか、風呂にも入れない日が続く。
注射療法を始めた頃は、6ヶ月でよくなると言われた症状は、1年かかってようやく緩和されるようになってきました。しかし、完治したわけではなく、ちょっとしたことでまた症状が強くでると言う状態が続きました。
症状に出会ってからまる15年も経つのに、まだ闘い続けていました。
ちょうどそんな折、心理センターに電話するきっかけをつかみました。
でも彼は、こんなに自立神経失調の症状が強く出ているにも関わらず、人の世話をするのが大好きで、見合いの世話を何十回もしたり、町会の役員を十年間。何か行事があれば全て依頼がくるので、喜んでくれる人がいる以上、やらねばならないと頑張ってきました。
会社のゴルフコンペの常任幹事も長い間していて、大変な神経と労力をついやする仕事ですが、ひとに尽くすことを実行するいいチャンスだと喜んでお世話をしていたと言います。
(カウンセリングノート)
彼はありとあらゆる症状を訴えてきましたが、その根は一つ。すべて心理的原因による自立神経失調からきているものなので、症状が増えようが強くなろうが心配ないことを何度も強調。
アルコールや薬、人に依存せず、不安な症状を我慢しつつするべきことをする。すると、段々と心の外へ関心が移って行きます。こうした体験を積み重ねて行くことで、初めて症状を克服できるのです。
彼の場合、半年程で会社を休むことはなくなりましたが、カウンセリング中断時期を含め、全治に4年程かかっています。
見えていない心の問題をつかむのは非常に難しいものです。
彼は、能力的に優秀だからこそ、社会不適応が現れたとも言えます。 人によく思われたい、一生懸命やっている自分を認めてほしい。その思いが強いので心のバランスを崩すことになります。
自分の考える理想の自分についてよく理解して実行しなければ、いつまでたっても理想の自分に近付くことは出来ません。誰かに気づいてもらわないと直らないのです。
TA(交流分析)によって、彼の性格、幼少期の母親との関わりなどを知ることにより、心身に現れる現象の一つとして受け取り、病気や自分の性格とうまく付き合いができるようになれば、良い方向に向かうでしょう。