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思春期の家庭内暴力
思春期の子どもは、一見抑制困難に陥っているかのような、爆発的に暴力を振るうことがあります。
その暴力は、ときには一般常識では理解できないほどの大事件なることもあり得ることで、それらは大人にとって理解できないことではあるが、一方子どもの立場に立ってみると、「それしかできなかった」、あるいは「それをしてまでも訴えたかった」子どもの気持ち・意向があったとみることができます。
つまりそこに至るまでに、周囲の大人がその訴えを理解し、対応できなかったことの責任は大きいともいえるのです。
思春期になると子ども達は、精神的に自立の準備を始めます。
その1つの表現として、彼らは自分の世界に閉じこもったり、同年代の仲間同士の世界に没入したりし始め、その結果、家族が自分の世界に介入することを嫌うようになります。
彼らは、親が自分と一生共に生きてくれる訳ではないことを悟り始め、その頼りなさや寂しさを埋めるために、自分が自立すること、親に代わって自分とともに生きてくれる仲間を探すことが必要であることを無意識のうちに自覚し始めるのです。
自立の始まりとしての証、いわゆる第二反抗期です。
この時期、彼らの一見ささいな言動が何を意味しているのか、大人は理解する努力をしなければならないでしょう。
なぜなら、彼らは一方では栄養や、安らぎの補給基地としての家族関係を必要としているからです。
思春期の彼らの心理状態を理解することは難しく、反抗と依存が同時に現れ、一見矛盾した言動が見られます。
しかし、彼らには第二の分離一個体化(第一は3歳前後)に必要不可欠なプロセスなのです。
特にこの時期の彼らにとっては、仲間との競争や葛藤に疲れたとき、また自己の個性を守ろうとして孤独になったとき、家族は唯一安息と自己確認を与えてくれる場になるでしょう。
こんなとき、もし彼らに自分を受け入れてくれる人や場が見つからなかったなら、彼らはそれを様々な形で表現し、訴えることになり、その一つの表現形態が家庭内暴力なのです。
自分の子どもが思春期にさしかかったら、どこの親御さんも悩まれることと思います。
自分もまた通ってきた道なのですが、親の育て方や時代背景、環境も違い、今の子ども達は克己心に欠けるところがあるのも事実です。
文部科学省のまとめで「キレる小学生」と題して、「昨年度構内暴力、最悪の2000件突破」とありました。小学生が教師に暴力を振るうのです。感情を抑えられない小学生が増えているのです。
わたしの年代では高校生がこれらの事件の中心だったのですが、低年齢化しているのも、深刻な事態です。