悩み相談・心の癒し『なごみ』
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カウンセリングの可能性と限界
限られた時間の中で、カウンセラーは何処までクライエントの気持ちに共感し、尚かつ問題解決への自然治癒力を引き出すことができるか。
この可能性と限界は、長年スキルを積んだカウンセラーにとっても難しい課題です。
カウンセラーがクライエントを「無条件に受け入れよ」と言われたとき、つまり、カウンセラーがクライエントを理解(共感的理解)しようとするとき、クライエントの全てを受け入れることができるだろうか・・・と言うことです。
相手のことを知らないのに、無条件の受容だけしようとしても無理があるのは当然です。
たとえば、クライエントが他人を実際に傷をつけたいと思うほど腹が立っているとき、悔しさはよく分かっても、カウンセラーはそれをおいそれと受け入れては取り返しのつかないことになりかねません。
また、クライエントがもっと面談時間を延ばして欲しいとか、別の時間に別の場所で会って欲しいとかの要求に、ほんとうにそうすることがクライエントのためにたることなのかどうか、カウンセラー自信がぎりぎりの状態に追い込まれます。
クライエントが抱えている悩みや問題は、人間として同質の葛藤や迷いです。カウンセラーもできる限り自分の葛藤に直面し、向かい合わなければならないし、直面できないときは、その限界を認識する必要があります。
受容することは重要ですが、何でも受け入れれば共感していることになるのかと言うとそうではありません。
そのまま伝わる・・・スポーツ観戦しながら観客が一体となって応援する状態。これは、心理学の言葉で「情動伝染」と呼ばれ、共感とは区別されます。
「同情」・・・これは悲しみと言う否定的な場合をさします。同情される側は自分の安定を脅かされることはないが、助けにはならないばかりか見下ろされたように感じ、結局、同情は自己満足でしかありません。
「共感」・・・優劣の関係は生まれず、共感された側にすると、他者に分かってもらえた体験によって、自分の低下した自己評価を回復することにつながります。
カウンセラーは常に共感的理解をしながら、尚かつクライエントとの関係においてある程度の距離をおき、可能性と限界、そして自分自身の限界も考えなければなりません。
@まとめ
「カウンセラーの可能性と限界は、クライエントを共感的理解することから始まります。クライエントの可能性にしっかり付き合うことによって、カウンセラー自身の限界も見えてくるでしょう。そして更なるアプローチも生まれるよう努力したいものです。」